甲斐の地酒、谷櫻酒造

By 2020.12.21SHOP

自然豊かな北杜市では、古くからいくつかの日本酒を作る蔵元があります。
その酒蔵のひとつ、嘉永元年(1848年)、御神酒酒屋と言われる小さな酒造蔵として始まった谷櫻酒造。
当時、蔵の敷地より大量の古銭が出土したことから「古銭屋」という屋号としても親しまれてきました。
八ヶ岳南麓の地では昔も今も、壮大な自然と清らかな湧水の恵みが日々の酒造りを支えてくれています。

酒の味は米、香りは酵母、口当たりは水質と言われます。谷櫻では、酒造りに使う米を全量、玄米を精米するところから自社で行います。その後ひと粒の約40%(平均)を削り取り、酒の雑味となる部分を取り除きます。また、深井戸にこんこんと湧くのは、八ヶ岳南麓高原湧水群の伏流水。恵まれた自然の産物に蔵人の技が加わることで、谷櫻の酒が生まれます。
キリッと空気も冷えた冬の時期に酒造りは行われます。

谷櫻酒造では、ありのままの日本酒本来のうまみを引き出す理想的な醸造方法を求めた結果、自然の摂理を巧妙に使う昔ながらの醸造方「生酛造り」を取り入れています。自然のまま乳酸菌を培養・育成し、蔵つき酵母によって育成の環境を整えて生まれたのが本醸造「櫻守」・純米酒「櫻舞」。それぞれ香りが特徴の味わい深い酒です。酵母の声を聞きながら、巧みにその手を動かします。

今は少なくなった伝統的な「槽絞り」も未だ健在。大吟醸(大吟醸・古銭屋の酒・サクラサクラ)は発酵させた醪を布でできた酒袋に入れ、槽(ふね)と呼ばれる入れ物に敷き積み重ね、木の蓋をし上からプレスしてお酒を搾っていきます。ゆっくりと圧をかけ搾り終えるまでにまる最低3日間。手作業でもろみを何百枚もの袋に入れて積み重ねるので非常に手間がかかりますが、絞り方によって日本酒の味わいは驚くほどに変わるそう。
「ひとつひとつの工程を丁寧に、ただただその工程を繰り返していくんだよ」と杜氏さんが教えてくれました。

酒造りの仕込み期間中、杜氏と蔵人は寝食を共に過ごすことになります。全員が揃う昼食は社長か社長夫人の手料理が出され、この伝統が連帯感を生み、皆が同じ方向を向いて酒造りをするためのきっかけになっています。蔵人たちは、昼夜を問わず生きものである“酒”と向き合っています。
谷櫻が考える日本酒は食文化と共にあるといいます。
食は地理や歴史、そして風土に根ざしたもので、時代とともに変化してきました。食の中で飲まれる酒、日常の中で当たり前にある酒を目指したいという想いで酒造りをしてきた結果、近年は、香港IWSC2020やロンドン酒チャレンジ2020など、相次ぎ谷櫻の酒が賞を受賞しています。

常に〝うまい酒〞を造るために変わること、そして変わらないことを大事に風土を纏った酒を醸していく谷櫻酒造。人にやさしい、自然にやさしい酒造り。
甲斐の土地に根付く酒、谷櫻。


谷櫻酒造

⾕櫻酒造の敷地内には、⾕櫻の全商品をお買い求めいただける直営店があります。試飲も無料となっていますので、ぜひお気軽に。

⼭梨県北杜市⼤泉町⾕⼾2037
TEL 0551-38-2008 / FAX 0551-38-2199 
営業時間:平⽇ 8:30〜17:30/⼟曜 10:00〜17:00
定休⽇:⽇曜・祝
https://www.tanizakura.co.jp


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