近くて遠い景色 vol.05

夜に見る炎はどうしてあんなにも魅力的なんだろう。
1月14日はどんど焼きの日。

数年前の1月14日、その日は大雪で 雪の白さで夜なのに少し明るくて 友人の車で茅野へ向かうところだった。
雪道をゆっくりと運転する友人のその隣で、通りがかりに大きな炎を見た。
高く細長いシルエットがごうごうと燃えていた。
周りにはぼちぼち人がいて、みんな楽しそうに炎を眺めていた。

そのほんの一瞬の景色が深く脳裏に残った。
幼少期、私の地区で行われていたそれは日中で、正月飾りなどを雑多にまとめて燃やしていたくらい、のうっすらとした記憶のものだった。
そして今月の14日 念願のどんど焼きを見に、高森へ。


暗がりの田んぼに、あの高く細長いシルエットがそびえ立っていた。
てっぺん付近にだるまをつけたそれは、まるでモンスターのようだった。
近所の子供や大人たちで賑わい、そのモンスターを囲みながら みんな点火を待っていた。


点火をしてからはあっという間で、大きな火をみんなで眺めた。
数年前に見た同じ景色があった。
厄投げをしたり、柳の木に繭玉を刺したり。

きっと昔から変わらない景色。
これからも続いていってほしい景色。

sakura fantasma

Author sakura fantasma

山生まれ山育ち。ホラー嫌いのFantasma(おばけ)。異国と音楽、紙と山をこよなく愛し、イラストやコラージュを主に国内外問わず制作&発表している。 WEB

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