吉田のうどんの先駆け「みうらうどん」

By 2019.11.25SHOP

「ハタオリマチフェスティバル(通称“ハタフェス”)」の舞台となっている富士吉田のまちには、「吉田のうどん」と呼ばれる郷土料理があります。初めて食べる人はびっくりするほど硬くてコシの強い太麺が特徴で、富士吉田には人口5万人弱に対してなんと60件以上も吉田のうどんのお店があるのです。

そんな吉田のうどんの成り立ちには、機織りが深く関係していると言われています。江戸末期から昭和にかけて郡内地方における基幹産業は、女性が携わる養蚕や機織でした。養蚕や機織で忙しい女性に代わって男性たちが炊事を受け持ち、強い力で地粉をこねてうどんを打ったため、コシ、硬さ、太さに特徴を持つ吉田のうどんが生まれたそうです。

今回ご紹介する「みうらうどん」は、そんな吉田のうどんの先駆けとなったお店。昭和56年の創業以降、ここに修行に来る人が大勢いたため、吉田のまちにはみうらうどんから暖簾分けしたお店がいくつもあるのです。そのためお店の外観には「元祖 みうらうどん」の文字が堂々と書かれ、今も家族経営により変わらぬ味が守られ続けています。

みうらうどんの麺はコシの強い太麺で、スープは煮干しからダシを取った醤油と味噌がベースのさっぱりした優しい味わい。麺とスープの相性がよく、そこにほどよい甘さの馬肉やきれいに切り揃えられたシャキシャキのキャベツがよく合います。テーブル上に用意されている「すりだね」と「揚げ玉」で味の変化を楽しむこともできるので、食べ進めていて飽きることがありません。

3代目として麺を打っているのは、創業者の孫の穣人さん。毎朝5時にお店に来て、麺づくりの準備を始めます。
「気温に合わせて水の温度を調整したりしながら麺の具合を一定に保つのがむずかしいんです」と穣人さんは言いますが、6年目の腕前は見ていて感心するばかり。「味はもちろん、見た目のキレイさにもこだわりたい」と語りながら、トントンとテンポよく均等に麺を切り分けていきます。

最大50人入れる広い店内はいつも賑わっているため、相席は当たり前。たまたま同じテーブルに座ったお店の常連さんに挨拶をしたら、「お店はいっぱいあるけど、やっぱりここのうどんが食べたくなるんだよね」とお話ししてくれました。

昔も今も変わらず地元の人に愛されるここ「みうらうどん」の吉田のうどんをぜひ味わってみてください。これから富士吉田には寒い冬がやってきますが、ダシの効いた温かいうどんのスープを飲めば冷えた体もすぐに温まりますよ。

みうらうどん

山梨県富士吉田市下吉田1-22-5

0555-30-2377 10:00〜14:00   水曜定休

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