凡そ日記_2021.11月

2021.11.1

今日は、ナルラボの休憩中に香織さんにアーシングを教えてもらった。
裸足になって、空を見る。芝生が足に気持ちいい。からだが軽くなったのを感じる。これはなっちゃんにも教えてあげなくちゃ

2021.11.3

今日は北杜市の古本市へ。途中、銀杏の木を見に行った。夏芽が教えてくれた思い出の場所

彼女が涙を流しているのを見るのは何より辛い。こんなに辛いことがあるのかと思う程だった。

2021.11.4

写真は、何の為にあるのだろう。そんなことを考えた

机の上に一冊のルーズリーフを見つけた。見覚えのないノートを開くと、それが数日前に夏芽が置いていったものだと気づく。
その内容は、殆どが僕の知らない言葉によって埋め尽くされていた。
僕は、彼女のことを何も知らなかったんだなあと思った。もしかしたら。彼女がこれまで3年間勉強していたことに対して、僕はずっと興味がなかったのかもしれない。それがどんなものなのか、僕は一度でも分かろうとしたことがあっただろうか。彼女の苦労。これまでの3年間。僕は振り返る。本当は、何も知らなかった自分が、ただ悔しかったのだろう。
とにかく、そういった事実が僕をひどく落ち込ませた。
殆どの人間は、実際こんな感じなのだろうか。
では夏芽は、僕が日々していることに対しては、どんな風に思ったりしているんだろう。人は結局、1人なのではないか。一緒だと言ったり、どうしたって動かないように「僕ら」を決めつけてしまったりするけれど。僕は、そんなものは、と思ってしまった。そうして、更に傷を深める

彼女は今、3年制の看護学校に通っていて、今年国家試験を受ける予定だ。3年間、本当に毎日忙しく生活している彼女を見ていて、僕は尊敬の念と同時に、何だろう。不思議な気持ちを持っていた。いや、僕はそれを知っている。僕はたぶん、彼女を助けたかったんだと思う。こんなこと書くと笑われるかもしれないけれど、僕は少年の頃誰もが夢見た、ただ、彼女だけにとっての、ヒーローになりたかったのだ。では、僕は彼女から一体何を救いたかったのだろう。そんなことを、考える。もう、こんなことは言わない

僕ら18の時出逢ったね。あれから何年か経った。僕は、ただそのことを考えただけで、どうしようもないくらい深い感動を覚えると共に、果てしない空虚を感じるんだ。
あの頃。それから現在。

2021.11.5

夏芽と早川町へ行った。今日初めて彼女を早川町へ連れて行ったのだ

彼女は家を見て、結構驚いた様子。あまり良い印象はなかったようだ(まあ、まだ前の持ち主の物があったり家の状態は結構悪いのだからそう思うのは当たり前だと思う)
帰りの車で、彼女とお互いの価値観について話をした。沢山した。

関係性で作る生活について考える

お金を稼ぐことって何なのか、僕は疑問に思うのである

2021.11.7

坂口恭平の「独立国家の作り方」を読んでいる。
僕は彼の文章を読む度、ああ、この人は僕と一緒なんだなあと思う。
そうして、今日、彼の文章はちょっと怖いな、とも思った。それは彼の本心、覚悟に触れたからだと思う。
彼の言葉を借りる。「やりたいことではいけない。自分がやらなければならないことではない」と。
だから僕は、僕がやらなければならないことを見つけるのだ。いや、恐らくそれはもう自分の中にあるのだと思う。「僕の中」から見つけるのだ

彼の音楽も聴いている。なんて楽しそうに唄を歌う人なんだろうと思う。僕はいつか彼に会うのだろうなあ、と想像したり。

それはそうと、この日記の誤差。について考えてもいいのかなと思った。ひと月遅れて僕の気持ちは、誰かに読まれる。僕はそのことに対してどんな態度でいたらいいだろう、これを読む人たちは?どうなんだろう。ひと月って、結構大きいんじゃないかなと思う。

2021.11.8

母の店のことを考えると、まだこちらで出来ることがあるのかと思ったりする。早川町は、まだなのかなあと思う。こちらでできること、僕は探さなくちゃいけないのだと思う

2021.11.9

最近、風の又三郎兄さんがデザインの勉強を始めたらしく、1日で名刺を作ってしまったらしい。なんだかんだ、僕も一年前からadobeの契約をしたままなのである。大した知識もなく、「遊び方」もわからないくせに、ただお金だけ払っているのである。最近、契約を解除しようか、しまいか悩んだりしていたので、これはいいいきっかけだと思って、僕もデザインの勉強をすることにした。自分のことはなるべく、自分でやってしまいたいからね。母の店の仕事も手伝えるだろうし、これはいいなーと思った。兄さんと2人で遊びながら学習しようと思ったらすごくワクワクしてきた。電気工事士の技能試験も、あとひと月。そろそろこちらの勉強もしなければいけないのだが、どうせ2週間くらい前にならないと勉強しないんだろうなーと思うから考えないことにした

2021.11.13

坂口恭平の「独立国家のつくりかた」読み終えた。
いやー彼はすごい。僕はこの本を数冊買って、大切な人たちに送りつけたい、とさえ思った。「最近、こんなことを考えています」というメッセージを添えて。
僕の疑問は全然おかしくないことなのだから、僕は僕の信じることをやるしかないのだ

「凡そ日記」のことについて考えてみる。
僕がこの日記にこのような名前を付けたのは、恐らく日記に書けることは、僕の考えていることの三分の一くらいに過ぎないだろうなーと思っていたから。それと、僕が書いたことを読むのは他者だ。当たり前だが、僕の書いたことをどう解釈するかは他者に委ねられる。つまり、僕の思っていることや言いたいこと、共有したいことが他の人に伝わることなど殆どない、そんな前提でこの名前を付けた。だからって、言葉というものを完全に諦めたわけではない。

しかし、時々はこんな風に考えてしまう。僕が書いていることって、どれだけありのままに他者に理解されているんだろう、或いは僕が考えていることってどのくらい理解される可能性があるんだろう?

2021.11.16

日はこんなにも早く暮れる。
そうだった、冬はいつも淋しかったのだ

まだかまだか、と期待して眠る。幼き頃を思いだし、まだかまだか、はいつも来なかったことを知る

2021.11.17

一宮のおばあちゃんに芦川町という場所があることを教えてもらった。早速家に帰って調べて見ると何とも魅力的な場所だった。早川町に行くことに最近あまり気持ちが乗り気ではなかった僕の気持ちは、瞬間にして芦川町の方へ持っていかれた。とにかく、実際に見に行って確かめてみないと。ちょうど明日は何の予定も入れてなかったので早速行ってみることにする

自分の感動(感情)の持続性の短さ について考えたい

飽きているのとは違うと思う。

俺はやっぱり寂しいらしい
俺がやりたいことは「あらゆる人が寂しくならないこと、寂しくならない状況を作る、そういう状態が自然にあること」
人が寂しいと感じない状況とは?

2021.11.18

芦川町に行ってきた。
なんとも言えない、何が何だかわからない気持ちになった。理想の家を探している僕は、なんだかとても惨めに思えた

2021.11.20

早川町へ父と行った。
森になっている畑を開拓する。

2021.11.23

自分の中に確固としたものがあれば、なんてことのない事ばかりなのにね。本当は知っている。だから、僕はまだまだ未熟なんだ

今日は休みの日。なつと一緒にいつも通りチロルに行き少し勉強、そのあと山梨市の図書館に行った。久々に図書館に行くと、自分が今何に関心があるのかがわかる。
今日借りた本は殆どが農業についての本。それから獣害対策についての本、最近写真について考えることがあるので、そのヒントになればと土門拳のエッセイ、手作り油読本、誰かの日記を読みたいと思っていたところ偶然発見した高野悦子の「20歳の原点」を借りた。

家に帰り今日借りた本をひとまず流し読みしてみる。手作り油読本に書かれている「バイオディーゼル」という単語に釘付けになる。これは確か、この間読んだ坂口恭平の「独立国家の作り方」に書かれていた「持続可能な燃料」のことではないか。持続可能な生き方を目指す僕にとってこの言葉はとてつもなく重要な言葉だったのではっきりと記憶していた。
バイオディーゼルというのは、簡単にいうと植物油や廃油などから作る事のできるディーゼルエンジン用の燃料のこと。
「手作り油読本」を読んでいると、ああ、10年ほど前の技術でもう既にここまで進んでいるのかあと思った。
まだ自分の中での定義は確立していないものの、自分の目指す「自給」について考えた時に、やはり燃料などのことについて(例えば僕は普段から車を使っているのでガソリンが必要である)は考えていかなくちゃなあと以前から思っていたのだ。これは大変なヒントになりそうだと、また一つ学びたいことが増えた。
早速バイオディーゼルについて調べてみると、また新しい発見をした。少しずつ、少しずつ「僕の中にある言葉」に近づいている。焦ることはないよな、と最近では久しぶりに一呼吸おけた気がした。

船越さんのことをふと思いだす。
結局、あらゆる事物、一切は繋がっているんだということを理解した。最近のどうにもならない疑問、気持ち悪さはこの為だったのだとわかった。「知ってさえいれば、許すことはできる」そういう心持ちを知った。僕の場合、「その方法」を知らないからこそ苦しかったのだ

夜、夏芽と風呂に入っている時に、僕は「夏芽」を知ってしまった。
夏芽は僕が思っている以上に、僕の話を聞いていない笑 恐ろしいくらいに、だ。笑
例えばいつも、僕が何か大切なことを伝えようとすると、或いは伝えている時、いつも夏芽はあらゆる出来事の何か、に気を取られ、そちらへいってしまう。僕は話をしたいから、再度続けようとするが中々最初のようにはいかない。ちょっと調子が合わない、そんなことが、結構あったりするのだ。
そうして今日は調子が良いのか、夏芽は起こった出来事や、思ったことを何でも口にしている。あーあれはこうで、それはそっちでー、これも可愛い!みたいな…笑
それがとても可笑しい。こんなに自由な子なんだーと思うくらいだった。そんな夏芽の性格を知って、ちょっと僕も反省しなければなと思ったりした。
夏芽曰く、僕は思ったより理屈っぽく、面倒臭い時が多いらしい。

2021.11.26

チロルにいる
高野悦子の「二十歳の原点」を読む
共感する部分と、圧倒されるところがあった。こんなことを言えばいいのだと思った。
本を置いた。何が何だか哀しくなった
落ち込んでいたのかもしれない。
AirPodsを耳に装着、王舟の「あいがあって」を流す。
外に出る。ちょっと外を見てみるつもりだった。どんな気か知らない。何もかもが動いているのに、何一つ不思議じゃない。ただ、そこにあるように動いている。誰かがこちらをみている。
ただ、歌が聴こえる。

あいがあって歌がある
日々が流れて目の前にいる
話ができた不思議なことで

忘れてしまいたい気持ちと
覚えておきたい気持ちを
二つが重なり合わさっても
何も変わらないでしょう

​​

2021.11.27

東京は、駅がたくさんあるなあ

東京のマルシェに来ていた。今日は風の又三郎兄さんの手伝いで、母と3人で来た。
仕事が終わり夕方、なつやさんから連絡が来る。「電話しない?」なんて。電話するのは多分半年ぶりくらいだろうか? 僕はいま、東京にいるよ。近くだったら会えるよと連絡。緊張しているのがわかる。こっちには仕事で来ていたからまさか会うことになるとは思っていなかった。
隅田川歩いて、飯食って、銭湯でも行こうと返信が来る。 もちろん。
僕は地下鉄に乗り押上という駅で降りた。なつやさんがくれたプレイリストを聴きながら。

ホームを出るとなつやさんが。抱きついて、久しぶりという。実際、1年半ぶりくらいだ。彼と東京で会うのは初めて。なんか、お互いがここにいることにとても違和感を覚えてしまった笑

歩きながら様々な話をする。どんな話からしようか?考えていたことより先に、思ったより色々話してしまう。話しながら、これは話しても話しても空いた年月は埋められないんじゃないかしら?なんて思ったりしながら。思ったより自分の考えていることは言葉にならない。
それでも話す。聞く。
なつやさんはたぶん、わかってくれたと思う。

結局、抱えているものが限りなく同じだということは僕を心底安心させた。

「人に優しくありたい」
「人の傷に気付ける人間でいたい」

わかった、良かった、と思う瞬間があった。
もうそれだけで良いのだあと思う瞬間が幾つもあった。

2021.11.29​​

そういえば一昨日はなつやさんと会ったんだなあ
今日は体調が優れず仕事を休む。一日寝て、夕方頃ようやく起き飯を食う。Netflixでアニメを観て、ぐだぐだしていた。
ふと、なつやさんと話したことを思いだして、この間の歌(Guá Ài Lí)をもう一度聴く。一度目は考えごとをしていたからか歌詞が入ってこない。2度目を聴いた時、ああ、わかったと思った。彼らが抱えているもの、大切にしているもの。

2021.11.30

ゆうきさんが来た。
夜、実家の風呂に入って色々な話をした

ゆうきさんが言った。「信頼と信用って違うってことに気づいたんだよね」

信頼は、人との関係で築き上げてきたもの
信用は、技術があって初めて成り立つもの

そんな話を聞いて、僕はこんな風に思ってしまった「今まで信頼しかやってこなかったなあ」

風呂に入っている時間は不思議な話をできる

母の誕生日を祝った。

馬渕尭也

Author 馬渕尭也

2001年生まれ。山梨市出身。高校時代から周囲の人たちのありのままの姿や風景をフィルムカメラで撮っている。 高校卒業後台湾へ留学。帰国後の現在は、農業をしたり、地域の読書会に参加したりと、様々な場所をウロウロしながら生活というものを日々模索している。好きな作家は深沢七郎 Facebook / Instagram

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