昭和にタイムスリップ「喜久乃湯温泉」

By 2021.10.04SHOP

山梨には、素晴らしい温泉がたくさんあります。特に甲府の温泉銭湯の気持ち良さは、全国の有名温泉地のお湯に引けを取らないと僕は思っています。そんな訳で、県外から人が遊びに来たときには必ず温泉に入っていくことをおすすめしているのですが、数ある温泉の中で特に行くべきなのは?と聞かれたときに、必ず名前を挙げる場所の一つ(一つに絞れないので毎回いくつかお伝えしています)が、ここ「喜久乃湯温泉」です。

甲府駅北口から徒歩15分ほどのところにある喜久乃湯は、昭和元年(1926年)創業。あの昭和の文豪、太宰治も新婚時代の甲府滞在中に足繁く通っていたという歴史も持っているのです。太宰が実際に浴槽に入りながら何を考えていたのか…そんな妄想をしつつ一歩建物の中に足を踏み入れると、そこには見事なまでの昭和イズムが。なんとも懐かしい靴箱、昔ならではの番台はご夫婦が交代で当番しています。昭和生まれの僕が妙に落ち着くのは、つくられたレトロっぽさではなく、しっかりと時間が紡がれてきた歴史を感じることができるからだと思います。

入浴料の430円を払って脱衣場に進むと、壁には昭和40年代の広告看板がそのまま残っています。書体やレイアウトからも時代を感じます。喜久乃湯温泉は、昭和41年に現在の建物に改装された時のままですが、古びた感じはなく、むしろ床は磨き上げられとても清潔感があり、この風情を残そうという店主の気概が感じられます。

タイルが美しい浴室の雰囲気は、これぞ銭湯! 浴槽は4つあり、奥にはサウナもあるんです。奥の二つの浴槽が源泉掛け流し。奥の手前がだいたい38度の源泉加温、一番奥は28度の源泉そのままで、サウナ後はここにドボン。水風呂としては少しぬるいかもしれませんが、逆にそのぬるさが心地良くてなかなか出ることができない…という声も。

さらに通の楽しみ方は、+500円払って2階にある大広間と温泉を行ったり来たりすること。大広間は10時から18時までの間であれば何時間でも利用することができ、飲食の持ち込みや出前もOK。入浴の合間に昼ごはんを食べたり、お風呂上がりの一杯を楽しんだりしながら喜久乃湯で1日ゆっくり過ごす休日なんて、この上ない贅沢ですよね。(※現在はコロナの影響で大広間は閉鎖中です)

タオル、シャンプー、ボディソープの入った銭湯セットを小脇に抱え、今日もいざ昭和の時代へタイムスリップ。


喜久乃湯温泉
山梨県甲府市朝日5丁目14-6
055-252-6123
料金:430円(サウナ代込み)
営業時間:10:00〜21:300
定休日:水曜日・毎月第三木曜日

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