【連載】アメリカヤの日々 vol.10

アメリカヤが無事に4/8にオープンしました。9つのテナントが入る複合ビルとして12年ぶりにアメリカヤに人の流れや息吹が入りました。アメリカヤビルが生まれ変わることになったきっかけは、いろいろな偶然性や人の想いが重なって実現していったことだと思います。
IROHA CRAFTさんが韮崎の別の場所からこのビルをずっと見ていて、いつか自分たちがこのビルをリノベーションして蘇らせたいと熱い想いでずっと待っていたら、然るべきタイミングで人が人をつないでその想いが実現しました。
そこからはとても速かったと思います。半年とちょっとでビルをリノベーションして(この規模をリノベしようって相当な気合いと覚悟とお金がかかるとまず思ったわけで)、そのテナントに入って欲しい人にも声をかけて、いつの間にやらぼくもその想いに絆されて(いい意味でね)、5Fにワークスペースを借りることになりました。どうしてBEEKで5Fに部屋を借りようと思ったのか、それはまた別のお話で。


今回はどんな人たちがこのアメリカヤに入居しているのかを紹介したいと思います。1Fは広いカフェスペースです。「食事と喫茶 ボンシイク」さん。彼らの紹介は アメリカヤの日々 vol.08 でもしています。
カレーやパスタ、ハンバーグなどおいしいごはんとドリンク類、スイーツやお菓子などが楽しめます。

人が集い、おしゃべりやおいしいものを楽しむ場所。先日お茶をしていると、近所のおばあちゃん3人組が楽しくおしゃべりしている姿も見受けられました。商店街の通りにカフェがあるって理想的だとおもいます。アメリカヤ周辺は歩いて面白いところが多い場所です。人の息吹が感じられる街並みがあるというか。外からの人も、地元の人も行き交うことで新しいきっかけがいつか生まれるのではないでしょうか。
このビルが再生したように、いろいろなきっかけがこのカフェの中から生まれるはずです。そう期待させてくれるだけのものがあります。
オーナーご夫婦のこだわりが店内あちこちにつまっています。今もすでにビルに馴染んでいますが、時間とともに変わっていく姿も見てみたくなるんです。11:00~18:00(L.O.17:00)と通しで営業しているのも嬉しいところ。おいしいごはんを、楽しいおしゃべりをしにぜひ気軽にご利用してください。ボンシイクは火曜定休です。



2階にあるのは、ビルと同じ名前を冠するAMERICAYA DIY SERVICE CENTER。セルフリノベーションの魅力を発信する場を作りたいというIROHA CRAFTさんの思いから、木材(古材も)・金物(スイッチプレートとか)・照明(いいシェードあります)・塗料(木にも塗ってモルタルぽくなるやつおすすめ)・工具(結果インパクトがほしくなる)などふつうのホームセンターではなかなか揃わないDIYアイテムが揃います。DIYのレクチャーをするスペースもあるし、気軽に相談にのってくれるスタッフもいます。いきなりふつうの人が大きなリノベはできないけど、部屋の空いた壁だったり、棚やボックスを作りたいなんて気軽なDIYがこれから増えていくときに大活躍するツールがたくさんあります。こちらは月曜日が定休です。

3階は個性豊かな4つのテナントが集まる、AMERICAYA FOLKS。この場所で新しいチャレンジをしようと思う人々が集まりました。
「馬の骨」というなんとも意味深な名前のお店は、レコード屋です。お店を出すのは初めてなどこの馬の骨とも知れない、わけではないとても音楽好きなマニッシュな青年たちがいい空気感で営んでいます。お店を開けて1週間、何度か足を運んでくれる高校生がいたり(その子はSTONE ROSESやニルヴァーナ、Oasisが好きという!)、アンプにやけに詳しい常連さんができたり、地方のレコード屋さんが来てくれたりと、レコードがあるからこそ生まれたグルーヴがあります。

隣の部屋に入居してるのは、月の半分でお店が変わるという部屋をシャアするお店。イラストレーター/アーティストのsakurafantasmaさんの「Norspöke」(月の前半)と移動古本屋として県内外で出店をしていたmountain bookcaseさんの「Zimmer」(月の後半)。どちらも小渕沢に居を構え、個別のお店としてははじめての出店です。そしてどちらもBEEKで連載をしてくれている方々。sakuraさんは自身のイラストをシルクスクリーン印刷したグッズやポストカード、さらには外国で出会った人の作品の展示販売もしています。Zimmerのほうでは、毎回テーマを掲げた選書で古本と新刊本が揃います。アーティストの展示も積極的にこれから開催していくようです。

3店舗目はフォトスタジオとして家族を撮影したり写真講座も開催するArtempo(アルテンポ)さん。ベビーフォトを中心に、家族の写真はアメリカヤ5Fを使ったりして撮影してくれます。写真をはじめ、表現の世界がもっと生活の身近になるように、artとtempo(時間)が合わさった造語が名前の由来になっているそうです。デジカメの使い方や撮り方などを少人数制でじっくりと対話や実践も含めた講座として学んでいくこともできます。アメリカヤ、そして韮崎の商店街は写真映えするところが多いのでぜひカメラを持って町歩きもしてみたいものですね。

そして4店舗目は、手作りで結婚指輪を作ることができる「Craft Jewery Karen」さん。甲府市に工房があるのですが、このたびアメリカヤにその工房の一部も持って来てくれたので、ジュエリーを作る過程を見ることもできます。自分たちの指輪を自分たちで作る。いままでそんな想像ができなかったのですが、karenさんの丁寧な説明と熱心なサポートがあるので、作りたいデザインの希望があれば全力でそれを形にしてくれます。どんなものでも自分で作ると愛着がわいて長く持っていよう、大事にしようと思います。結婚指輪ではなくても、イベントでカジュアルなリングを作るワークショップもこれからおこなうとのこと

3階のお店は金曜〜月曜にいることが多いですが、細かい営業の情報は各店舗のSNSでご確認ください。
@馬の骨 @Norspöke   @Zimmer @artempo @Karen
さらに階段を登って4F。ここはこのビルをリノベーションしたIROHA CRAFTさんの事務所が移転して入りました。

新築やリノベーションを幅広く手がけるIROHAさん。BEEKではその立ち上げの頃に出会って、イロハさんのロゴやイロハさんが手がけるお店や建物のデザインをよくお手伝いさせてもらっていました。今回のアメリカヤビルも、がっちりとタッグを組んでビル全体のデザイン計画に携わりました。お互いこのビルを、そして韮崎の街の中でどうしていきたいか、意見を擦り合わせながら街の中で再度シンボルとなるビルの未来を描いてやってきました。その場所にお互い居を構えたことで、これからもっと街を楽しくする仕事が一緒にできるのではないかと思っています。
嬉しいことにとても素敵で頼りになる仲間たちもこのビルにいます。いまがやっとスタート地点なんです。
「AMERICAYA est. 50 years ago in 1967. Reborn in 2018.」

最上階5FはScapeというイベント&コミュニティスペース。イベントや会議やちょっとしたパーティーなどで貸切ができて、イベントがないときは自由に仕事や読書や駅の待合などで使ってもらえるスペースとして解放しています。飲食自由、Wi-fi、電源あってこの見晴らし。仕事も気分が変わってできるのでオススメしたいのですが、ぼくは仕事なんか放って本でも読みたくなるのでダメかも(笑)。
部屋の3面が窓になっていて、富士山が見え反対側には八ヶ岳も見えます。高校生がまったりとおしゃべりしていたり、編み物をする人がいたりお弁当を食べている人がいたりと、それぞれの使い方をしてくれていました。開放的すぎて、「え、自由に使っていいの」感がまだ出ていますが、いいんです。このScapeを見ながらぜひ自由に時間を過ごしてください。
そしてこの階の小部屋にBEEKのワークスペースがあります。小さい部屋なのですが、見晴らしがいい部屋なんです。人が多いときは玄関先に古本を置いて売ったりもしています。ぜひ気になる方はノックして引っ張り出してください。

駆け足で紹介してきたアメリカヤビルの全貌。いや、全貌は書ききれていません。とにかく、なにか圧倒される力がこのビルにはもともと備わっていました。イロハさんも僕も、入居している方々もそれぞれの感性の中でその力を感じたのだと思います。それだけの何か心を掴まれるものがこのアメリカヤビルにはありました。先代の星野さんの想いももちろんあるのでしょうが、韮崎商店街のシンボルとして今もまだそこにあるという、時間が育てたシミが見えるところにも見えないところにもあるんです。これからもシミは人の手によってついていきます。時間は前にしか進むことはできません。ぼくらはこれから前に進んでいくために、ここにいます。ぜひお気軽に遊びにきてくださいね。

more info:アメリカヤ
山梨県韮崎市中央町10-17
http://americaya1967.jp

BEEK

Author BEEK

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