近くて遠い景色 vol.06

ドイツはシュトゥットガルトから長時間かけて、プラハに辿り着いたのは夕方だった。

まだまだ日が高く、西日が街を照らしていた。
バス停周辺にはたくさんの観光客らしき人々がバスやトラムを待っていて、とても賑やかだった。

幻想の都、プラハ。
1ヶ月に渡るヨーロッパ旅の最終地点。長旅で疲れきった頭を抱えながら、やっと乗込んだトラムでマーネス橋からの景色をぼんやりと眺めた。

初めての景色と聞きなれない言葉。異国。

中心街の賑わいと、ひっそりとした路地のコントラスト。
安くておいしいビールをぐびぐびと流し込む。
薄暗いレストランの地下室。

トラムの切符用の小銭を気にしたり。
公園で気持ちよさそうにくつろぐ人たち。
錬金術師がいた時代を想像して歩く。

中世の街並みが残る都市は、きっと夜が美しい。

今思うと、なんだかすべて白昼夢だった気がする。

sakura fantasma

Author sakura fantasma

山生まれ山育ち。ホラー嫌いのFantasma(おばけ)。異国と音楽、紙と山をこよなく愛し、イラストやコラージュを主に国内外問わず制作&発表している。 WEB

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