その方はほんの少し前からお客さんとしてアメリカヤに来てくださって、それほどたくさんお話ししたことはないのだけれど、本が好きで書くことが大好きだとおっしゃっていた。
InstagramでもTwitterでもなくて、写真つきの長文のブログを毎日アップするというのは、毎日ジョギングやトレーニングを続けるくらい大変なことだ。
そんなふうに書くことを毎日続けたら、おいしい料理が手早くつくることができるように、思ったことを短時間で文章化できるようになると思う。
ところで私がほぼ毎日続けていることはなんだろうかと、あらためて考えてみる。
その1:Instagramの投稿。
2012年の4月から始めた自分の個人アカウントは写真だけの時もあれば、長い文章がつくこともある。
写真だけの時は、気持ちがことばにならない時。写真を撮るということは自分にとって、自分の心の動きを測る装置のようなもので、この記録があるからこそ、自分というものが客観的に可視化できているように思う。
高校生の時の本屋のバイトを除けば、2004年から今まで本を売るという仕事を続けている。
2012年に長く務めたブックカフェを退職した後、一度は本屋の職を離れようかと思ったこともあったけれど、すぐに本の世界に戻ってきてしまった。
逆にその期間があったからこそ、本と自分は切っても切れないと感じたし、自分にとっては本だけが飽きることなく、遊びでも仕事でも、いろんなことに繋げられるうえに、世界を広げることも深めることもできて、今の自分があると思っている。
“ひとつひとつは取るに足りない僅かなものでも、積もり積もった暁には大きな山のようにそびえるものだ、積み重ねを侮ってはいけない、と言った意味合いの表現。”
どんな些細なことだっていいと思う。
続けるって素晴らしい。続けた先にはきっとそこでしか見られない風景がある。
[BOOK LIST]
宿題の絵日記帳/今井信吾
この本は、生まれつき高度の難聴である今井麗(うらら)さんと幼稚園の先生との連絡帳として、父である今井信吾さんが描いた絵日記を編集し、まとめたものです。
今井麗さんは、1982年生まれ。3人のお子さんを持つお母さんでもあり、植本一子さんの著書「かなわない」の表紙のトーストや、今年の「暮しの手帖」夏号の表紙のポトフの絵など、身近なものをモチーフに描かれた絵がとても印象的な、今注目されている画家のひとりです。
人の口の動きを読み取る「口話法」は、日々の努力なしには習得できない技術ですが、我が子の自立と成長を、優しさと厳しさとユーモアたっぷりに見守ってこられたご家族の愛おしい時間が、この絵日記には残されています。
その時は無我夢中で見えなかったことも、日記や写真など、記録されたものを時間を置いて再び見返すことで、それがかけがえのない時間であったと、より一層感慨深く感じられるのだと思います。
今井麗さんHP
https://ulalaimai.jimdo.com/