やまなしサウナ巡礼 #1「湯殿館/中央市」

「ホームサウナはどこ?」
そう聞かれたら私は「中央市の湯殿館」と答えるようにしている。

ホームサウナとは「サウナーが本拠地として利用し、こよなく愛するお気に入りのサウナ」という意味だとサウナWikiに書かれているけれど、私が一番高頻度で利用するのは家から近い別の施設だ。それでも湯殿館を「ホーム」と呼びたいのは、一番の心の拠り所はいつだって湯殿館だから。

「疲れが溜まってきたな」というとき、私は家から車で30分のところにある湯殿館に行くことが多い。湯殿館は観光客よりも地元の常連客に愛され続けるような施設で、正直なところ初めて行ったときは「これといった特徴はないかな?」と感じた。しかし、サウナが好きになればなるほど、湯殿館がいかに素晴らしい施設なのかわかるようになっていった。

湯殿館のサウナ室は、背面の壁にストーブが格納されているボナサウナ。7分ごとに後ろの壁の中でオートロウリュがおこなわれるため、高い湿度が維持されている。髪がパサパサしたり皮膚がヒリヒリするような熱さではないので、カラカラ系が苦手という人でも入りやすいと思う。全3段で上段はかなり熱いので、私は中段か下段に座ることが多い。室内の薄暗さもちょうど良く、ぼんやりテレビを眺めているとあっという間に身体が蒸されていく。

サウナ室を出ると、目の前には深さ違いの2種類の水風呂が現われる。冷たすぎないけれどしっかりと冷たい水風呂は体感18度くらい。友人が湯殿館のことを“山梨のしきじ”(しきじ=サウナーの聖地と呼ばれる静岡の施設)と呼んでいたけれど、その気持ちもわかるくらい水の肌触りが良い。「あぁ〜」と声が漏れそうになるのは何とか我慢しているけれど、きっと微笑みは浮かべてしまっていると思う(笑)。

外気浴中は外のベンチに座って空の星や手入れの行き届いた松を眺める。少し身体が冷えてきたら内湯に浸かり、注ぎ口からお湯を両手ですくってゴクリと飲む。加熱・冷却・循環無しの100%源泉掛け流しのお湯の飲用は、慢性消化器病・糖尿病・痛風・肝臓病に適応性があると書かれている。このお湯を飲んだときの「効くぅ…」という感覚が至福で、サウナ→水風呂→外気浴→飲湯の流れを何度か繰り返している内に、心も身体もスッキリして疲れはどこかに吹き飛んでしまう。

そんな、サウナ良し、水質・泉質良しの湯殿館には、他にもまだまだ素晴らしいところがたくさんある。2階のお食事処のご飯がおいしいところ、小まめに掃除をしてくれていて常に清潔なところ、入館料900円でタオルと館内着が付いていて化粧水なども完備されているから手ぶらで行けるところ、雑誌や漫画がたくさんあるところ、Wi-Fiが使えるところ…健康ランドのような大型施設でもないのにこの完璧さはすごい…!

最近は仕事終わりに行くことが多かったけれど、個人的には休日に昼頃まで寝て、午後から湯殿館でゆっくり過ごして帰りにイオンでレイトショーでも見て帰るという流れが最強だと思っている。今度おもしろそうな映画が始まったら、久しぶりにそんな休日を過ごしてみよう。もしも湯殿館で会った人に映画館で再会するなんてことがあったら、温泉効果でツルツルになった手で握手を求めたい。

湯殿館
住所:山梨県中央市若宮33-1
営業時間:AM10:00〜PM10:00
定休日:毎月第1・第3火曜日
https://www.yudenkan.com/
ikumi

Author ikumi

BEEKのスタッフ。サウナが好きすぎて「ranta」の屋号でサウナTシャツをつくって販売したり、サウナレビューを書いたりしている。 Instagram

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