何かにハマってそれに没頭しはじめることを人は「スイッチが入る」と言うけれど、この表現を最初に考えた人はすごいなぁと思う。まさに言い得ている。
周りにも近頃何かしらのスイッチが入った人をちらほら見かける。
先日も、去年あたりからBTSにハマってしまったという同僚から「BTSはハワイのようなものだと思う」と言う名言が飛び出した。
その意を訊ねると、ハワイというのは年齢問わず、ビーチ好きのギャルから、各国を旅してきた達人までみんなに愛されていて、自然も豊かで、さまざまな魅力がある場所だからだと言うような理由だったが、確かにハワイには多くの人を魅了する力があるなと、おおいに納得してしまった。
先日も、去年あたりからBTSにハマってしまったという同僚から「BTSはハワイのようなものだと思う」と言う名言が飛び出した。
その意を訊ねると、ハワイというのは年齢問わず、ビーチ好きのギャルから、各国を旅してきた達人までみんなに愛されていて、自然も豊かで、さまざまな魅力がある場所だからだと言うような理由だったが、確かにハワイには多くの人を魅了する力があるなと、おおいに納得してしまった。
私はBTSにもK-POPにも全く詳しくはないけれど、去年の秋にラジオで放送された坂本龍一さんの番組で、療養中の坂本さんに代わってBTSを熱く語った批評家の浅田彰さんのBTS論はとてもおもしろく、全くBTSを知らなかった私でも彼らが愛される理由を知ることができたのだが、それがハワイであるという表現に行き着くとは!
では、BTSにもK-POPにもハマらなかった私のスイッチが入ったものは何かというと、ずばり「短歌」だ。
それは57577の31文字の短い詩であり、穂村弘さんや俵万智さんが書いているあの「短歌」だ。
それまでも近代から現代まで歌集を読んで、いいなぁと思う歌はいくつもあったし、歌集を買ったこともあったけれど、ハマるということはなかった。
ましてや自分で短歌を書こうなどという気持ちになったことすらなかった。
それは57577の31文字の短い詩であり、穂村弘さんや俵万智さんが書いているあの「短歌」だ。
それまでも近代から現代まで歌集を読んで、いいなぁと思う歌はいくつもあったし、歌集を買ったこともあったけれど、ハマるということはなかった。
ましてや自分で短歌を書こうなどという気持ちになったことすらなかった。
ところが木下龍也さんが注文者からのお題で作歌し販売した、いわゆるオーダー短歌をまとめた本『あなたのための短歌集』がきっかけとなって、読んだ瞬間、初めて私の短歌への「スイッチ」が入ったのだった。
“頑張らなくてもいいんだよと思える短歌をお願いします”という依頼には、「もがくほどしずむかなしい海だから力を抜いて浮かんでいてね」という歌が作られ、“不平等な世の中だからこそ生きたいと思えるような短歌をお願いします”という依頼には「大きさも深さも違う花瓶にはそれぞれ似合う一輪がある」という歌が書かれた。
恋愛の歌から人生を励ましてくれるような歌まで、どの歌も渾身の一首だ。
恋愛の歌から人生を励ましてくれるような歌まで、どの歌も渾身の一首だ。
それまで私が読んだことのある短歌というのは、時には共感することもあったけれど、どちらかといえばもう少し説明があれば理解できそうなのにと、こちら側の読みとる力の足りなさもあって、短歌を読むのは難しいと思い込んでいた。
それがこの短歌集では、依頼人に宛てた短歌であるという性質だからなのか、これまでに読んだことのある短歌と違って、歌の内容も意味するところもとてもわかりやすく心と頭に入ってきた。
それがこの短歌集では、依頼人に宛てた短歌であるという性質だからなのか、これまでに読んだことのある短歌と違って、歌の内容も意味するところもとてもわかりやすく心と頭に入ってきた。
そうして何度も短歌を読んでいるうちに、段々とリズム感や捉え方がわかるようになってきた。
そんなとき、美しい風景を見たときに写真を撮るだけでなく、自分がその時に見たり感じたことをそのまま31文字の中に閉じ込めてみたいと初めて思った。その時に書かれたものが自分が作った最初の“短歌のようなもの”となった。
そんなとき、美しい風景を見たときに写真を撮るだけでなく、自分がその時に見たり感じたことをそのまま31文字の中に閉じ込めてみたいと初めて思った。その時に書かれたものが自分が作った最初の“短歌のようなもの”となった。
その次に続けて読んだのが、出版社のナナロク社さんの「あたらしい歌集選考会」で選出され、今年1月に第一歌集が出版された島楓果さんの歌集『すべてのものは優しさをもつ』だったのだが、彼女が日常を切り取るように描写する作り方や、短歌に込められたやさしさや在り方にふれて、ますますさまざまな歌人の短歌を読むことへの関心が深まった。
そこへ来て、前にも一度読んだことのある木下龍也さんの本『天才による凡人のための短歌教室』をもう一度手に取ってみた。これはタイトル通り、木下龍也さんによる短歌作りのための本である。
おもしろいもので、自分が短歌を作るようになると、この本に書かれている内容が実によく理解できる。以前読んだ時とは大違いだ。
ますます短歌が書きたくなった。
こんなふうにして今のところ毎日短歌を書くことが日課のようになった。
俳句だと文字が足りなくて、詩だと言葉に思いが込められ過ぎたり、どこでどう終わらせたらいいのか迷ってしまうようになってしまった私にとって短歌というものが意外にもぴたりときた。
おもしろいもので、自分が短歌を作るようになると、この本に書かれている内容が実によく理解できる。以前読んだ時とは大違いだ。
ますます短歌が書きたくなった。
こんなふうにして今のところ毎日短歌を書くことが日課のようになった。
俳句だと文字が足りなくて、詩だと言葉に思いが込められ過ぎたり、どこでどう終わらせたらいいのか迷ってしまうようになってしまった私にとって短歌というものが意外にもぴたりときた。
箱にお菓子を詰めるように、弁当箱にごはんとおかずを詰めるように、もしくは旅に出かける時にスーツケースに荷物を詰めるように、限られた文字数に的確な言葉を置いて表現をするのはそんな工夫にも似たおもしろさがある。
思っても見なかったものに対して、どこでどう「好き」のスイッチが入るのか、まったくもって不思議なものだと思う。
思っても見なかったものに対して、どこでどう「好き」のスイッチが入るのか、まったくもって不思議なものだと思う。
[BOOK LIST]
『あなたのための短歌集』 (木下龍也/ナナロク社)
まずはこの本のページを開いてみれば、短歌を好きになるきっかけになるはず
『すべてのものは優しさをもつ』 (島楓果/ナナロク社)
1999年生まれの歌人による第一歌集。
あとがきの言葉もとても沁みます。
『天才による凡人のための短歌教室』 (木下龍也/ナナロク社)
短歌の世界に興味が湧いたらまずこの本を。
書きたくなったらやっぱりこの本を。