人と本、人と人をつなぐ「春光堂書店」

By 2019.08.09SHOP

ぼくは他県に旅行に行くと、時間があれば必ずその街にある小さな「街の本屋さん」に寄ります。昔からその街に根付いて本を売っていた小さな書店はほんとうに減ってきました。本離れ、デジタル化、などなど言われますが、そうは言っても本は毎月毎月出続けています。そんな膨大な数の本を自分のお店に個性豊かに選書していたり、本を媒介にしてコミュニケーションを図る本屋さんがまだまだ地方にはいろいろあるんです。そう、ぼくらのまち甲府にももちろんありますよ。今回は甲府の街の本屋「春光堂書店」を紹介します。

甲府中心の銀座通りに1918年に創業した春光堂書店はあります。創業100年にもなる街の本屋さんを現在担っているのは、4代目の宮川大輔さん。
本棚を今の時代にあわせて選書し、「人と本、人と人をつなぐ」ことを大切にしています。近所のこどもたちが小銭をかかえて本を買いに来たり、スーパーで買い物帰りのお母さん、配達中のお味噌屋さんなど、ふらっと立ち寄っておしゃべりもしながら本と出会える気さくな雰囲気のお店です。
本は大型書店ほどの数はないけれど、宮川さんやスタッフさんのセレクトのおかげで読みたい本に出会える確率はとてもとても高いとぼくは思っています。
いい本屋さんの条件としてぼくがひとつあげるとしたら、やっぱり偶然の本との出会いがどれだけできるかってことだと思います。きになる本の隣にさらに知らなかった関連本、さらにはまったく違う文脈で棚にある本の魅力に気づかされるなど、そこは本屋さんの魅力のひとつだと思います。春光堂ではそういった出会いがとても多いのです。

宮川さんが大事にしている本との出会いの場は、店舗だけにとどまりません。
10年も続いているという月1回の読書会や、酒蔵やカフェなどに本棚を作りそこでの本を使った空間作り(もちろん実際にそこの場所で本も買える)、文学と食をコラボさせたイベント開催など多岐に渡ります。図書館や大型書店どの垣根も関係ないと言い、本との出会いをどれだけ多くの人に届けるかが自分の役割と話してくれます。

地元山梨関連の本のコーナーも。山梨の文化を発信することは、春光堂の名前の由来にもなっている「春日町に知識の光を発信していく」というところにも通じます。
宮川さん曰く「地方の厳しい環境で生きぬく人々の「知」を集め再編集することにより、山梨の人や自然、文化資産といった資源を活かしていくことができると考えるからです」と。
小さな街の本屋さんだからこそできることがとてもたくさんあるなぁと日々感じています。ぼくも本の楽しさを伝える活動をする一人の「本屋」としてこれからも頑張ろうと、春光堂に行くといつも思うのでした。


春光堂書店
山梨県甲府市中央1-4-4
055-233-2334 9:00~20:00 日曜休

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