ごちそうのほうとう

By 2018.03.21SHOP

山梨県外から来た友人や訪問者に「おいしいほうとう屋さんを教えてください」と言われることがとても多いんです。
郷土料理としてのほうとうですが、わたしたち山梨県民にとってほうとうは家で食べる家庭料理であり、ほうとうのおいしいお店を聞かれても実はなかなか答えることができないというのは県民あるあるではないでしょうか。僕もかつてはその一人でした。そう、かつては。今は、自信をもって紹介できる、そしてわざわざ食べに行きたくなるほうとう屋さんがいくつかあるのです。その1つに甲府市徳行にある「金峰」(きんぷう)があります。
家で食べるほうとうがそれぞれの家の「家庭の味」であれば、金峰のほうとうは「丁寧につくられたごちそう」といえばいいでしょうか。

1973年に創業した「金峰」は、現在2代目店主の宮原和彦さんが切り盛りしています。宮原さんは、大学卒業後に割烹料理店などで修業を始め、寿司や活け魚料理などの本格的な和食の技術を学びました。その後、家を戻ることを決め28歳の時に山梨に戻って跡を継ぐことになりました。
宮原さんが代を継いでからの「金峰」のほうとうは、基本の食材を吟味するところから始まりました。麺には山梨県北杜市産の無農薬小麦粉を使用。地粉の麺はすべて手打ちでつくられます。うどんとの違いは、汁がほどよくからむように幅広く麺を切るところ。麺を下茹ですることなく打ち粉ごと具材と一緒に煮込み、モチモチとした食感に仕上げます。

出汁も化学調味料は一切使わず、鰹節、鯖節、椎茸、昆布、煮干しをたっぷり使って1日かけて旨みを抽出します。そこに、米と麦をミックスした山梨ならではの甲州味噌を合わせることで最高のほうとうの汁が出来上がります。
熱々の鉄鍋で運ばれてきたほうとうは、野菜がたっぷり。もちもちとした麺に煮込んだ野菜、味噌がうまみを引き立てたほうとう汁が絡み合います。食材本来のほっこりする味わいのなかに、しっかりとうまみを味わえるほうとうは、まさにごちそうです。
近所の人のランチでも重宝されている金峰は、ごはんやお刺身もセットになったほうとう定食もあります。
さらに店主が厳選した和食を引き立てるワインや日本酒など山梨ならではの地酒も楽しめるので、夜は飲んだ後のシメにほうとうなんて最高の〆方ですよ。
ほうとうは、家で食べるもの? それは、家庭の味のほうとうのこと。地元の人にも味わってもらいたい、郷土料理が誇らしくなる“ごちそう”が金峰にはあるんです。


金峰
山梨県甲府市徳行1-13-18
055-226-5493 昼:11:00~14:00(L.O.13:30) 夜:17:00~21:00(L.O.20:30) 
水曜定休

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