torch #11

私のお気に入りのドレスは、純粋な黒の美しいドレスになって戻ってきました。

6年前に手に入れた、立体裁断の波打つドレープが印象的な友人のブランド・hazineのドレス。
年を重ねるごとに自分に馴染んできていたのに、不注意でハイターを飛ばして小さな斑点を作ってしまいました。
これからも着続けたい大切な1着の再生を試みていたタイミングで、富士吉田市にある丸幸産業さんの黒染め加工展が富士製氷旧工場を富士吉田市と東京理科大学研究チームで共同設計・リノベーションされた空間「FUJIHIMURO」で開催される事を知り私のドレスもお願いして、直接受け取りに行ってきました。

会場には170枚もの加工後の服が並び、大切に着られていたであろう物や私と同じような気持ちで届けたのかと感じるものもあれば、手元に戻ってくるまで想像がつかない、加工の後の姿を楽しんで待っているかのようなものもあり、一枚一枚が個性的で、誰かの思い出を辿るような感覚を楽しみました。

物が飽和状態のこの時代、大切に着てこられた洋服が目の前に多数並んでいるのを体感することで、私が服を作り続ける理由の一つをそこに見た気がしました。

染めていただいた黒は、黒の中の黒＝純黒で、丸幸産業さんの染色の技術の高さにも感激しました。
普段から個人の方の黒染めも受け付けているそうなので、気になる方はぜひ一度加工依頼してください。